増資(株式会社の募集株式の発行)

募集株式の関係条文解説

募集株式の決定事項

下記の事項を定めます(会社法199条)。

1.募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。)。種類株式というのは、優先株式等の普通株式と異なる株式のことです。

2. 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。)又はその算定方法

3. 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額

4. 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間

5. 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

 上記の募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければなりません。

募集株式の申込み(203条)

株式会社は、第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一 株式会社の商号
二 募集事項
三 金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

会社法203条第4号に基づく会社法施行規則41条

上記の他、発行可能株式総数、単元株数等を通知します。

(申込みをしようとする者に対して通知すべき事項)
第四十一条 法第二百三条第一項第四号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 発行可能株式総数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の発行可能種類株式総数を含む。)
二 株式会社(種類株式発行会社を除く。)が発行する株式の内容として法第百七条第一項各号に掲げる事項を定めているときは、当該株式の内容
三 株式会社(種類株式発行会社に限る。)が法第百八条第一項各号に掲げる事項につき内容の異なる株式を発行することとしているときは、各種類の株式の内容(ある種類の株式につき同条第三項の定款の定めがある場合において、当該定款の定めにより株式会社が当該種類の株式の内容を定めていないときは、当該種類の株式の内容の要綱)
四 単元株式数についての定款の定めがあるときは、その単元株式数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の単元株式数)
五 次に掲げる定款の定めがあるときは、その規定
イ 法第百三十九条第一項、第百四十条第五項又は第百四十五条第一号若しくは第二号に規定する定款の定め
ロ 法第百六十四条第一項に規定する定款の定め
ハ 法第百六十七条第三項に規定する定款の定め
ニ 法第百六十八条第一項又は第百六十九条第二項に規定する定款の定め
ホ 法第百七十四条に規定する定款の定め
ヘ 法第三百四十七条に規定する定款の定め
ト 第二十六条第一号又は第二号に規定する定款の定め
六 株主名簿管理人を置く旨の定款の定めがあるときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
七 電子提供措置をとる旨の定款の定めがあるときは、その規定
八 定款に定められた事項(法第二百三条第一項第一号から第三号まで及び前各号に掲げる事項を除く。)であって、当該株式会社に対して募集株式の引受けの申込みをしようとする者が当該者に対して通知することを請求した事項

出資の履行(208条)

募集株式の引受人(株主となろうとするもの)(現物出資財産を給付する者を除く。)は、第百九十九条第一項第四号の期日又は同号の期間内に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集株式の払込金額の全額を払い込まなければなりません。

株主となる時期(209条)

払込期日を定めた場合には、出資金の払込期日、そうでない場合は出資金を払い込んだ日に株主となります。

会社法の関係条文

第一款 募集事項の決定等

(募集事項の決定)

第百九十九条 株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。

 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)

 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法

 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額

 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間

 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

 前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。

 第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

 種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

 募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

(募集株式の申込み)
第二百三条 株式会社は、第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一 株式会社の商号
二 募集事項
三 金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2 第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。
一 申込みをする者の氏名又は名称及び住所
二 引き受けようとする募集株式の数
3 前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。
4 第一項の規定は、株式会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書を第一項の申込みをしようとする者に対して交付している場合その他募集株式の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。
5 株式会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。
6 株式会社が申込者に対してする通知又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
7 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
(募集株式の割当て)
第二百四条 株式会社は、申込者の中から募集株式の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集株式の数を定めなければならない。この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集株式の数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。
2 募集株式が譲渡制限株式である場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
3 株式会社は、第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集株式の数を通知しなければならない。
4 第二百二条の規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が同条第一項第二号の期日までに前条第二項の申込みをしないときは、当該株主は、募集株式の割当てを受ける権利を失う。
(募集株式の申込み及び割当てに関する特則)
第二百五条 前二条の規定は、募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
2 前項に規定する場合において、募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
3 第二百二条の二第一項後段の規定による同項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、定款又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定めに係る取締役(取締役であった者を含む。)以外の者は、第二百三条第二項の申込みをし、又は第一項の契約を締結することができない。
4 前項に規定する場合における前条第三項並びに第二百六条の二第一項、第三項及び第四項の規定の適用については、前条第三項及び第二百六条の二第一項中「第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)」とあり、同条第三項中「同項に規定する期日」とあり、並びに同条第四項中「第一項に規定する期日」とあるのは、「割当日」とする。
5 指名委員会等設置会社における第三項の規定の適用については、同項中「定款又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号に掲げる事項についての定め」とあるのは「報酬委員会による第四百九条第三項第三号に定める事項についての決定」と、「取締役」とあるのは「執行役又は取締役」とする。
(募集株式の引受け)
第二百六条 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める募集株式の数について募集株式の引受人となる。
一 申込者 株式会社の割り当てた募集株式の数
二 前条第一項の契約により募集株式の総数を引き受けた者 その者が引き受けた募集株式の数
(公開会社における募集株式の割当て等の特則)
第二百六条の二 公開会社は、募集株式の引受人について、第一号に掲げる数の第二号に掲げる数に対する割合が二分の一を超える場合には、第百九十九条第一項第四号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の二週間前までに、株主に対し、当該引受人(以下この項及び第四項において「特定引受人」という。)の氏名又は名称及び住所、当該特定引受人についての第一号に掲げる数その他の法務省令で定める事項を通知しなければならない。ただし、当該特定引受人が当該公開会社の親会社等である場合又は第二百二条の規定により株主に株式の割当てを受ける権利を与えた場合は、この限りでない。
一 当該引受人(その子会社等を含む。)がその引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数
二 当該募集株式の引受人の全員がその引き受けた募集株式の株主となった場合における総株主の議決権の数
2 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
3 第一項の規定にかかわらず、株式会社が同項の事項について同項に規定する期日の二週間前までに金融商品取引法第四条第一項から第三項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、第一項の規定による通知は、することを要しない。
4 総株主(この項の株主総会において議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主が第一項の規定による通知又は第二項の公告の日(前項の場合にあっては、法務省令で定める日)から二週間以内に特定引受人(その子会社等を含む。以下この項において同じ。)による募集株式の引受けに反対する旨を公開会社に対し通知したときは、当該公開会社は、第一項に規定する期日の前日までに、株主総会の決議によって、当該特定引受人に対する募集株式の割当て又は当該特定引受人との間の第二百五条第一項の契約の承認を受けなければならない。ただし、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときは、この限りでない。
5 第三百九条第一項の規定にかかわらず、前項の株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。

(出資の履行)
第二百八条 募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者を除く。)は、第百九十九条第一項第四号の期日又は同号の期間内に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集株式の払込金額の全額を払い込まなければならない。
2 募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者に限る。)は、第百九十九条第一項第四号の期日又は同号の期間内に、それぞれの募集株式の払込金額の全額に相当する現物出資財産を給付しなければならない。
3 募集株式の引受人は、第一項の規定による払込み又は前項の規定による給付(以下この款において「出資の履行」という。)をする債務と株式会社に対する債権とを相殺することができない。
4 出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利の譲渡は、株式会社に対抗することができない。
5 募集株式の引受人は、出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利を失う。
(株主となる時期等)
第二百九条 募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める日に、出資の履行をした募集株式の株主となる。
一 第百九十九条第一項第四号の期日を定めた場合 当該期日
二 第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合 出資の履行をした日
2 募集株式の引受人は、第二百十三条の二第一項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第二百十三条の三第一項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した募集株式について、株主の権利を行使することができない。
3 前項の募集株式を譲り受けた者は、当該募集株式についての株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
4 第一項の規定にかかわらず、第二百二条の二第一項後段の規定による同項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、募集株式の引受人は、割当日に、その引き受けた募集株式の株主となる。

商業登記法の関係条文

(募集株式の発行による変更の登記)
第五十六条 募集株式(会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式をいう。第一号及び第五号において同じ。)の発行による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 募集株式の引受けの申込み又は会社法第二百五条第一項の契約を証する書面
二 金銭を出資の目的とするときは、会社法第二百八条第一項の規定による払込みがあつたことを証する書面
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、次に掲げる書面
イ 検査役が選任されたときは、検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類
ロ 会社法第二百七条第九項第三号に掲げる場合には、有価証券の市場価格を証する書面
ハ 会社法第二百七条第九項第四号に掲げる場合には、同号に規定する証明を記載した書面及びその附属書類
ニ 会社法第二百七条第九項第五号に掲げる場合には、同号の金銭債権について記載された会計帳簿
四 検査役の報告に関する裁判があつたときは、その謄本
五 会社法第二百六条の二第四項の規定による募集株式の引受けに反対する旨の通知があつた場合において、同項の規定により株主総会の決議による承認を受けなければならない場合に該当しないときは、当該場合に該当しないことを証する書面

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